女性の胸回りのボリュームアップ(大胸筋のボリュームアップ&寄せて上げる)のためのチューブトレーニング方法(ゴムバンド筋トレ)を詳しく解説します。また、胸回りのボリュームアップのための食事制限(ダイエット)の考え方、適切な負荷回数設定についてもあわせてご紹介します。
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■胸回りのボリュームアップと食事(ダイエット)
女性の場合、筋トレ=ダイエットに直結していまいがちですが、胸回りのボリュームアップ筋トレにおいては、筋トレ≠ダイエットであることを念頭においてください。
女性のバストの大部分は脂肪細胞からできており、体重を落とす=食事制限でダイエットを行う(体脂肪を減らす)と、どんなにバストの土台となる大胸筋をトレーニングしても絶対的なバストのボリュームは落ちてしまいます。
ですので、胸回りのボリュームアップ筋トレでは食事制限は行わず、普段どおりの食事量で体重を増やしも減らしもしない状態の中で、大胸筋を筋肥大させてバストの総ボリュームを増していくことが大切です。
■胸回りのボリュームアップ筋トレで鍛える筋肉
●大胸筋と小胸筋を鍛えていく
胸回りのボリュームアップ筋トレで鍛える対象となる筋肉は、まずは胸の筋肉・大胸筋がメインとなります。
大胸筋は大きく上部・内側・下部の三部位に分けられ、それぞれの作用と鍛えることで得られる胸回りのボリュームアップ効果は以下の通りです。
〇大胸筋上部:腕を斜め上方に押し出す作用を持ち、鍛えることでバスト全体をリフトアップする効果があります。
〇大胸筋内側:腕を前で閉じる作用を持ち、鍛えることでバストの位置を真ん中へ寄せる効果があります。
〇大胸筋下部:腕を斜め下方に押し出す作用を持ち、鍛えることでバスト全体の土台がボリュームアップします。
小胸筋は大胸筋外側の深層にあるインナーマッスルで、腕を開いた状態から腕を押し出す・閉じる動作に作用します。
また、この筋肉を鍛えることで、バストの土台となっている大胸筋を上方へリフトアップする効果があります。
なお、小胸筋はインナーマッスルですので筋肉自体は肥大しません。また、大胸筋を鍛えるトレーニングの中で同時に鍛えられていきますが、この筋肉の作用を考慮して、大胸筋トレーニングで「できるだけ腕を開く位置まで動作する」ことを意識するとさらに筋トレ効果が高まります。
▼さらに詳しい筋肉の名称・構造・作用
■チューブトレーニングの特徴
チューブトレーニングは複数の筋肉を同時に動かす複合関節種目(コンパウンド種目)だけでなく、個別の筋肉だけをトレーニングする単関節運動(アイソレーション種目)も非常に豊富です。トレーニングチューブのセットがあれば、全身をくまなくダイエット筋トレしていくことが可能で、女性の自宅ダイエットトレーニングとして非常に優れた方法です。
チューブトレーニングのデメリットは、ダンベルやバーベルほどの高負荷が加えられないことですが、男性ならともかく、女性のダイエット筋トレにはそれほどの高負荷は必要ありませんので、女性にとってはチューブトレーニングはメリットしかないと言えるでしょう。
■胸回りのボリュームアップのための負荷回数設定
美しく綺麗に身体を引き締めたり、出したい部分をボリュームアップしてボディーメイクをしていくのに重要なのが、トレーニングする部位と目的(スリムダウンorボリュームアップ)によって、筋トレの負荷と回数を正しく設定することです。
●目的別に最適な反復回数でターゲットにする筋繊維を鍛える
筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
●筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
収縮が速く(Fast)、グリコーゲン(Glycogen)を消費する速筋で、FG筋とも呼ばれます。30秒以内の瞬発的な動作で爆発的に収縮し、鍛えると強く筋肥大します。筋肥大バルクアップ筋トレのターゲットとなる筋繊維で、10回前後の反復回数で限界がくるような高負荷設定でトレーニングします。
パワー系スポーツ目的以外の多くの女性にとって、ムキムキにならないためにも刺激をしないほうがよい筋繊維です。
●筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
収縮が比較的速く(Fast)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する速筋で、FO筋とも呼ばれます。60秒以内の持久要素のある瞬発的な動作で収縮し、鍛えるとある程度の筋肥大が起こります。細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップのターゲットとなる筋繊維で、15回前後の反復回数で限界がくる中負荷設定でトレーニングします。
胸回りのボリュームアップやヒップアップなど部分的にボリュームを上げてボディメイクする場合に鍛える筋繊維です。
●筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
収縮が比較的遅く(Slow)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する遅筋で、SO筋とも呼ばれます。60秒以上の持久的な動作で持続的に収縮し、鍛えると筋密度が向上し引き締まります。引き締めダイエット筋トレのターゲットとなる筋繊維で、20回以上の反復回数で限界がくる低負荷設定でトレーニングします。
二の腕・背中・お腹・太ももなどを綺麗に引き締めてダイエットしていくのに鍛える筋繊維です。
【重要】胸回りのボリュームアップ筋トレは15回で
以上のことから、胸回りのボリュームアップ筋トレの対象となる大胸筋をトレーニングしていく場合、ターゲットとする筋繊維は筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)になりますので、最適な負荷回数設定は「15回の反復で限界がくる設定」で行うことです。
■筋トレの頻度と順番について
特に初心者の方がやってしまいがちな筋トレの間違いが二つあります。
まずは、「早く結果を出したいから毎日トレーニングする」というものですが、筋繊維は一度鍛えると細かな裂傷が発生し、48~72時間の回復期間をおいて「元よりも強くなって回復」します。これを超回復と言い、適切な超回復を繰り返すことによって身体を変えていくのが筋トレの基本的な理論です。
ですので、早く結果を出したいからと焦ってしまい、毎日トレーニングを行うと筋肉が超回復する時間がなくなり、かえって逆効果になりますので、筋肉を鍛えるのは一箇所あたり週2回が適切です。
次に、「気になる部位から先に鍛えてしまう」というのも多い間違いです。
一日のトレーニングは、正しい順番で行う必要があります。その基本は以下の通りです。
①複数の筋肉を同時に使うトレーニング
②大きな筋肉を個別に使うトレーニング
③小さな筋肉を個別に使うトレーニング
この順番を間違えると、特定の筋肉だけが先に疲れてしまい、そのトレーニング予定の筋肉をまんべんなくトレーニングすることができませんので注意してください。
それでは、次の項目からは具体的なトレーニングメニューをご紹介していきます。
■大胸筋の自重トレーニング
チューブトレーニングを効率よく筋肉に効かせるためのポイントは、まずアップとしてターゲットになる筋肉群全体を数セット行ってから、チューブトレーニングで仕上げていくという方法です。まずは、代表的な自重トレーニングをご紹介します。
●膝つき腕立て伏せ
膝つき腕立て伏せは、普通の腕立て伏せができない初心者女性でも簡単に取り組める自重トレーニングです。膝つき腕立て伏せは、うつ伏せになり膝と手をついて構えます。手幅は肩幅よりやや広くし、手をついたら背すじを伸ばし肩甲骨を寄せます。
肩甲骨の寄せ方が甘いと肩から初動することになり、大胸筋に負荷が届きにくいだけでなく、肩関節に負担がかかってしまいますので、セット中は常に肩甲骨を寄せたままで動作を行ってください。
また、肘を前方に張り出しすぎると肩関節に開き負荷がかかりますので、肘は肩のラインよりも前には出さないように注意しましょう。このほかに、肘の真下に手がくることを意識し、上半身の体重は前腕骨で垂直に受け止めるようにすることも大切です。
なお、大胸筋の収縮と首の連動性から、腕を押し切ったポジションで顎を引く動作を加えることで、大胸筋が完全収縮して効果が高まります。
本種目は、手の置き方などによりいくつかのバリエーションがあり、それは次の通りです。
◯ナロー膝つき腕立て伏せ
親指と人差し指で菱形を作って狭い手幅で行うバリエーションで、上腕三頭筋に強い負荷がかかります。
◯ワイド膝つき腕立て伏せ
広い手幅で行うバリエーションで、三角筋に強い負荷がかかります。
◯膝上げ膝つき腕立て伏せ
台などに膝をついて行うバリエーションで、腕を押し出す角度が体幹に対して斜め上方になることから、大胸筋上部に強い負荷がかかります。
【正しいやり方と手順】
①膝をつき、肩幅よりやや広く手を構える
②背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて上半身を下ろす
③腕を押し出して上半身を上げ、最後に顎を引いて大胸筋を完全収縮させる
●パイクプッシュアップ
パイクプッシュアップは肩の筋肉・三角筋のトレーニング種目ですが、大胸筋上部にも高い効果がありますので、足上げ腕立て伏せができない方におすすめです。
パイクプッシュアップは、うつ伏せになり、肩幅より広く手幅をとり、腰を大きく曲げて構えます。
そこから、斜め前に身体を下ろし、身体を下ろしきったら腕を伸ばして身体を斜め後ろに押し上げていきます。
この時に、肩甲骨を寄せておくことが大切で、肩甲骨の寄せ方が甘いと肩関節に強い負荷がかかりますので注意してください。
また、身体を押し上げる時に、肘が身体の背面側に入らないようにすることも重要です。肘が後ろに入ってしまうと、肩関節に開き負荷がかかりますので、あまり上半身を反らせすぎず、常に肘が身体の前側にあるように動作しましょう。
なお、負荷が足らない場合は、足を台などの上に乗せることで負荷強度を上げることが可能です。
【正しいやり方と手順】
①うつ伏せになり、肩幅より広く手幅をとり、腰を大きく曲げて構える
②肩甲骨を寄せて身体を斜め前に下ろす
③肘が身体の背面に入らないように気をつけ、身体を斜め後ろに押し上げる
■大胸筋のチューブトレーニング
●チューブチェストプレス
チューブチェストプレスは胸回りのボリュームアップの基本となるゴムチューブ筋トレです。
チューブチェストプレスは、胸を張り肩甲骨を寄せて構えます。構えた時に肩甲骨を十分に寄せていないと肩から初動することになり、三角筋に負荷がかかり、大胸筋に対する効果が半減しますので、セット中は常に肩甲骨を寄せておくようにしてください。
腕を押し出したら、やや腕を閉じる方向にも力を入れて大胸筋を完全収縮させます。また、大胸筋と首の動きの連動性から、この時に顎を引く動作を加えることでさらに強く大胸筋が収縮して効果が倍増します。
大胸筋を完全収縮させたら、同じ軌道で元に戻りますが、ゆっくりとした動作でゴムの張力に耐え、大胸筋に対してエキセントリック収縮(伸張性収縮)をかけるのが効かせるコツです。
なお、本種目は腕を押し出す角度によって効果のある部位が変化しますが、それぞれの種目名と特徴は以下の通りです。
〇インクラインチューブチェストプレス
斜め上方に腕を押し出す軌道のバリエーションで、大胸筋上部に有効です。
〇デクラインチューブチェストプレス
斜め下方に腕を押し出す軌道のバリエーションで、大胸筋下部に有効です。
なお、女性の場合、インクラインチューブチェストプレスはバストのリフトアップに、デクラインチューブチェストプレスはバストの土台全体のボリュームアップに効果があります。
【正しいやり方と手順】
①胸を張り、肩甲骨を寄せて構える
②肩甲骨を寄せたまま腕を押し出す
③腕を押し出したら、軽く腕を閉じる動作を行うとともに顎を引いて大胸筋を完全収縮させる
●チューブチェストフライ
チューブチェストフライはバストの位置を寄せて上げるのに最適なゴムチューブ筋トレです。
チューブチェストフライは、両手でトレーニングチューブをグリップし、大きく腕を開いて構えます。
そこから腕を閉じていきますが、肩甲骨をしっかりと寄せることが重要で、肩甲骨の寄せ方が甘いと肩から初動することになり、三角筋に負荷が分散してしまいます。
セット中は常に肩甲骨を寄せた状態を保ってください。
腕を胸の前で閉じたら、そこから腕を少し前に押し出すとともに顎を引いて大胸筋内側を完全収縮させます。
また、本種目は腕を閉じる時のコンセントリック収縮(短縮性収縮)だけでなく、腕を開いて元に戻る時にもゆっくりとした動作で大胸筋にエキセントリック収縮(伸長性収縮)を加えることが大切です。
なお、本種目は腕を閉じる角度によっていくつかのバリエーションがあります。それぞれの種目名と特徴は以下の通りになります。
◯インクラインチューブチェストフライ
斜め上方に腕を閉じる軌道で行うバリエーションで、大胸筋上部内側に有効です。
◯デクラインチューブチェストフライ
斜め下方に腕を閉じる軌道で行うバリエーションで、大胸筋下部内側に有効です。
◯クロスオーバーチューブチェストフライ
トレーニングチューブをグリップした手と反対側まで深く腕を閉じるバリエーションで大胸筋内側に非常に強い負荷がかかります。
特に女性にとっては、バストの位置を上げる作用のある大胸筋上部に有効な、インクラインチューブチェストフライが重要です。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブをグリップして構える
②肩甲骨を寄せて腕を閉じていく
③腕を閉じたら、さらに手を前方に突き出すとともに顎を引いて大胸筋内側を完全収縮させる
④ゆっくりとエキセントリック収縮をかけながら元に戻る
自宅筋トレ方法|大胸筋の筋トレ
自重筋トレ方法|背筋群の筋トレ
チューブ筋トレ|三角筋の筋トレ
ダンベル筋トレ|三頭筋の筋トレ
マシーン筋トレ|二頭筋の筋トレ
バーベル筋トレ|腹筋群の筋トレ
おしりの筋トレ|太ももの筋トレ
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※当サイトの表現するバルクアップとは筋肥大、バストアップとは胸の土台となる大胸筋のバルクアップ、ダイエットとは健康的な体脂肪率の減少、引き締めとは食事管理と合わせた総合的なダイエットを指します。
【執筆者情報】上岡岳|日本アームレスリング連盟常任理事|元日本代表|国際レフリー|ジムトレーナー|生物学学芸員