上腕二頭筋のチューブトレーニングを、長頭と短頭(内側頭・外側頭)の部位別に詳しく解説します。
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■上腕二頭筋の構造と作用
●長頭・短頭から構成される
上腕二頭筋は内側に位置する長頭と、外側に位置する短頭の2つの部位から構成されています。力こぶの高さを作るのが長頭で、上腕二頭筋全体のボリュームに関わるのが短頭です。この2つの部位をバランスよく鍛えていくことが上腕二頭筋トレーニングのポイントです。
なお、それぞれの部位の作用は以下の通りです。
〇上腕二頭筋長頭:肘関節の屈曲
〇上腕二頭筋短頭:肘関節の屈曲および前腕回外回旋
上腕二頭筋短頭は、肘関節の屈曲だけでなく前腕の回外方向への回旋作用もあわせ持っています。このため、特に短頭にターゲットを絞ってトレーニングする場合には、可能な種目では回外回旋動作を行って上腕二頭筋短頭を完全収縮させることが重要です。
・Wikipediaによる記載
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん、biceps brachii )は人間の上肢の筋肉。肘関節を屈曲した際によく浮き出る筋で通称力こぶと呼ばれている。作用としては前腕の屈曲と回外(肘を90°で固定し手のひらを上に向ける動作)を行う。屈曲時には上腕筋、烏口腕筋などと共に協調して働くが、純粋に前腕の屈曲をする主動作筋は上腕筋である。前腕屈曲位の拮抗筋は上腕三頭筋となる。前腕の回外は回外筋、腕橈骨筋などと協調して働く。大部分のドアのノブや螺子が右回りに作られているのは前腕の回外時に出る力が上腕二頭筋によって回内時よりも力が出やすいためである。上腕二頭筋全体を効率よく鍛える種目はダンベルカールやバーベルカール、短頭を鍛えるにはコンセントレーションカールやプリーチャーベンチカール、長頭ならインクラインカールやインクラインハンマーカールなどが有効である。他にも、ナローチンニング(懸垂)なども有効である。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/上腕二頭筋
■上腕二頭筋の筋トレの負荷回数設定
●筋繊維の種類と特徴
筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
●筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
収縮が速く(Fast)、グリコーゲン(Glycogen)を消費する速筋で、FG筋とも呼ばれます。30秒以内の瞬発的な動作で爆発的に収縮し、鍛えると強く筋肥大します。筋肥大バルクアップ筋トレのターゲットとなる筋繊維で、10回前後の反復回数で限界がくるような高負荷設定でトレーニングします。
●筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
収縮が比較的速く(Fast)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する速筋で、FO筋とも呼ばれます。60秒以内の持久要素のある瞬発的な動作で収縮し、鍛えるとある程度の筋肥大が起こります。細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップのターゲットとなる筋繊維で、15回前後の反復回数で限界がくる中負荷設定でトレーニングします。
●筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
収縮が比較的遅く(Slow)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する遅筋で、SO筋とも呼ばれます。60秒以上の持久的な動作で持続的に収縮し、鍛えると筋密度が向上し引き締まります。引き締めダイエット筋トレのターゲットとなる筋繊維で、20回以上の反復回数で限界がくる低負荷設定でトレーニングします。
なお、チューブトレーニングにおいて負荷を高めるのに有効なのが、動作自体をゆっくりと行うスロートレーニングや、元に戻る動作をゴムの張力に耐えながら筋肉にエキセントリック収縮(伸長性収縮)を加える手法です。
・厚生労働省によるスロートレーニングに関する記載
スロートレーニングとは、筋肉の発揮張力を維持しながらゆっくりと動作するレジスタンス運動のひとつの方法です。比較的軽めの負荷であっても、ゆっくりと動作することで大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることができます。関節や筋肉にかかる負荷が小さいことから、安全に行える有効なレジスタンス運動として期待されています。
引用:厚生労働省eヘルスネット「スロートレーニングとは」
・WikipediaによるDOMS(遅発性筋肉痛)に関する記載
DOMSの主原因となる運動は、筋肉が収縮方向とは逆方向に引きのばされながら力を発揮(伸張性収縮、或いはエキセントリック収縮)する運動である。筋肉を収縮させながら力を発揮(短縮性収縮、或いはコンセントリック収縮)する運動ではほとんどDOMSが生じない。
引用:Wikipedia「遅発性筋肉痛」
■上腕二頭筋長頭のチューブトレーニング
●チューブカール
チューブカールは上腕二頭筋に有効なゴムバンド筋トレです。
チューブカールは、トレーニングチューブの中央部を足で踏み、両端を手でグリップして構えます。
そこから肘を曲げていきますが、この時に肘を固定して肩関節を動かさないよにすることが大切です。肩関節が動いて肘が前後してしまうと、負荷が僧帽筋に分散してしまいますので、しっかりと肘の位置を固定し、肘から先だけで動作を行ってください。
また、肩関節を動かさないだけでなく、上半身を反らさないようにすることも重要で、上半身を反らせて動作を行うと、負荷が僧帽筋に逃げてしまいますので、直立姿勢を保ってトレーニングするようにしましょう。
肘を曲げてトレーニングチューブを引き上げたら、その位置で手首が外を向く方向に回外回旋を加えると上腕二頭筋が完全収縮して効果が倍増します。
上腕二頭筋を完全収縮させたら、そこから肘を伸ばしていきますが、本種目は肘を曲げてコンセントリック収縮(短縮性収縮)で効かせることと同じくらい、ゴムの張力に耐えながらエキセントリック収縮(伸長性収縮)をかけて肘を伸ばしていくことも重要です。ゆっくりとした動作で効かせてください。
ちなみに、両手を同時に動かすと、どうしても上半身が反ったり肩が動いてしまうという方には、左右の腕を交互に動かすオルタネイトスタイルがおすすめです。
なお、本種目はグリップ方法によりいくつかのバリエーションがありますが、それは以下の通りです。
◯ノーマルグリップ
手の平が上を向くグリップで行うバリエーションで、上腕二頭筋内側の短頭に有効です。
◯ハンマーグリップ
手の平が向き合うグリップで行うバリエーションで、上腕二頭筋外側の長頭に有効です。
◯リバースグリップ
手の平が下を向くグリップで行うバリエーションで、前腕筋群に有効です。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブを足で踏み、手で両端をグリップして構える
②肘の位置を固定し、肩を動かさず、上半身を反らせずに肘を曲げていく
③肘を曲げた位置で、手の平が外を向く方法に手首を回外回旋させて上腕二頭筋を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻る
●チューブリバースカール
チューブリバースカールは前腕筋群に有効なゴムバンド筋トレです。
チューブリバースカールは、トレーニングチューブの中央部を足で踏み、両端を手でグリップして構えます。
そこから肘を曲げていきますが、この時に肘を固定して肩関節を動かさないよにすることが大切です。肩関節が動いて肘が前後してしまうと、負荷が僧帽筋に分散してしまいますので、しっかりと肘の位置を固定し、肘から先だけで動作を行ってください。
肘を曲げたら、その位置で手首を上に反らせることで前腕筋群が完全収縮して効果が高まります。
前腕筋群を完全集収縮させたら、同じ軌道でゆっくりと効かせながら元に戻ります。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブを足で踏み、手で両端をグリップして構える
②肘の位置を固定し、肩を動かさず、上半身を反らせずに肘を曲げていく
③肘を曲げた位置で、手首を上に反らせて前腕筋群を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻る
■上腕二頭筋短頭のチューブトレーニング
●チューブハンマーカール
チューブハンマーカールは上腕二頭筋長頭に集中的な効果があるゴムバンド筋トレです。
チューブハンマーカールは、トレーニングチューブの中央部を足で踏み、両端を手の平が向き合うようにグリップして構えます。
そこから肘を曲げていきますが、負荷を僧帽筋に逃がさないためには以下のことに注意する必要があります。
・上半身を反らせない
・肘の位置を固定し肩を動かさない
このことに注意し、肘を曲げたら元に戻していきますが、この時にゆっくりとした動作でゴムの張力に耐えながらエキセントリック収縮(伸張性収縮)を上腕二頭筋に加えることが重要です。
なお、両手を同時に動かすと、どうしても上半身が反ったり肩が動いてしまうという方には、左右の腕を交互に動かすオルタネイトスタイルがおすすめです。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブを足で踏み、両端を手の平が向き合うようにグリップして構える
②肘の位置を固定し、肩を動かさず、上半身を反らせずに肘を曲げていく
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
●チューブドラッグカール
カール系トレーニングは基本的に肘関節だけを屈曲させる単関節運動(アイソレーション種目)ですが、ドラッグカールはあえて肩関節を動かし後方に引くことで、上腕二頭筋短頭の収縮率を高めたトレーニング方法です。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブを足で踏み、両端を手の平が向き合うようにグリップして構える
②肘が直角程度になるまでは、肘の位置を固定して肘から先だけでトレーニングチューブを引き上げる
③肘が直角程度になったら、肩をすくめるように肘を後ろに引き、上腕二頭筋を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻る
●チューブコンセントレーションカール
チューブコンセントレーションカールは上腕二頭筋短頭に集中的な効果があるゴムバンド筋トレです。
チューブコンセントレーションカールはベンチなどに座って足でチューブの足を踏み、もう片方を手でグリップして、肘を太ももに固定して構えます。
そこから肘を曲げていきますが、この時に肘が前後に動くと肩関節も動いてしまい、結果として背筋群に負荷が逃げてしまいますので、しっかりと肘を固定して動作してください。
肘を曲げたら、その位置で手の平が外を向く方向に手首を回外回旋させて上腕二頭筋短頭を完全収縮させます。
上腕二頭筋短頭が完全収縮したら、同じ軌道でゆっくりと効かせながら元に戻ります。
【正しいやり方と手順】
①ベンチに座り、肘を太ももに固定して構える
②肘から先だけを動かして肘を曲げていく
③肘を曲げた位置で、手首を回外回旋させて上腕二頭筋を完全収縮させる
④ゆくりと効かせながら元に戻る
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※当サイトの表現するバルクアップとは筋肥大、バストアップとは胸の土台となる大胸筋のバルクアップ、ダイエットとは健康的な体脂肪率の減少、引き締めとは食事管理と合わせた総合的なダイエットを指します。
【執筆者情報】上岡岳|日本アームレスリング連盟常任理事|元日本代表|国際レフリー|ジムトレーナー|生物学学芸員