背筋のチューブトレーニングを、広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋の部位別に詳しく解説します。また、あわせておすすめのトレーニングチューブもご紹介します。
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■背中の筋肉・背筋群の構造と作用
まずは、背筋を構成する筋肉の種類・名称と作用について解説します。鍛える対象を知った上でトレーニングをしていくことは、筋トレの効率を上げるためにも重要です。
●広背筋
広背筋は、背中の上部側面から下部中央にかけて逆三角形状に分布している背筋です。上や前から腕を引く寄せる作用があり、鍛えることで逆三角形の男性らしい体型になります。
・Wikipediaによる記載
広背筋(こうはいきん)は、背部の筋肉の棘腕筋のうち、下方に三角形をなす筋肉である。第5胸椎(Th5)~第5腰椎(L5)の棘突起、仙骨、腸骨稜、第9~12肋骨を起始とし、下部から上外側方、上部から水平に外側方に向かって走り、上腕骨の上部小結節稜に付着する。チンニング(懸垂)がもっともよく知られており効果も高いが、たいていの人間には負荷が高すぎる。その場合には、ラットプルダウン、ベント・オーバー・ローイング、ロープーリーなどの各種目が存在する。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/広背筋
●僧帽筋
僧帽筋は、首の後ろから腰にかけて分布している背筋です。下から腕を引く作用のほか肩甲骨を寄せる作用があり、この筋肉を鍛えることで分厚い上半身になります。
・Wikipediaによる記載
僧帽筋(そうぼうきん、英語: trapezius)は、人間の背中の一番表層にある筋肉である。僧帽筋の起始は外後頭隆起から正中を下に下りるように、項靱帯、上項線、第七~第十二胸椎まで続き、停止は鎖骨の外側1/3、肩峰、肩甲骨の肩甲棘である。筋線維は首からの物は下に走り、その後腕の方に向かって横に走る。背中からの物は逆に上に走り同じように腕の方に向かう。筋繊維が異なった方向に走行しているので、多くの動作が可能になっている。上方の筋線維は肩甲骨を持ち上げ、中間付近の筋線維は内側に引っ張り、下方の筋線維は下に下げ、上方と下方の筋線維が両方収縮するときは回転させる。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/僧帽筋
●長背筋群
長背筋群は脊柱沿いに分布するインナーマッスル(深層筋)の総称で、最長筋・多裂筋・脊柱起立筋などを含みます。体幹を伸展させる作用のほかに姿勢を維持する作用があり、この筋肉を鍛えることで背筋力が増すとともに、姿勢がよくなり猫背や腰痛が改善されることも期待できます。
▼さらに詳しい筋肉の構造と作用
【筋肉部位名称スマホ完全図鑑】胸・背中・腕・腹・下半身・インナーマッスルの名前と鍛え方
■背筋の筋トレの負荷回数設定
●筋繊維の種類と特徴
筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
●筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
収縮が速く(Fast)、グリコーゲン(Glycogen)を消費する速筋で、FG筋とも呼ばれます。30秒以内の瞬発的な動作で爆発的に収縮し、鍛えると強く筋肥大します。筋肥大バルクアップ筋トレのターゲットとなる筋繊維で、10回前後の反復回数で限界がくるような高負荷設定でトレーニングします。
●筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
収縮が比較的速く(Fast)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する速筋で、FO筋とも呼ばれます。60秒以内の持久要素のある瞬発的な動作で収縮し、鍛えるとある程度の筋肥大が起こります。細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップのターゲットとなる筋繊維で、15回前後の反復回数で限界がくる中負荷設定でトレーニングします。
●筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
収縮が比較的遅く(Slow)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する遅筋で、SO筋とも呼ばれます。60秒以上の持久的な動作で持続的に収縮し、鍛えると筋密度が向上し引き締まります。引き締めダイエット筋トレのターゲットとなる筋繊維で、20回以上の反復回数で限界がくる低負荷設定でトレーニングします。
なお、チューブトレーニングにおいて負荷を高めるのに有効なのが、動作自体をゆっくりと行うスロートレーニングや、元に戻る動作をゴムの張力に耐えながら筋肉にエキセントリック収縮(伸長性収縮)を加える手法です。
・厚生労働省によるスロートレーニングに関する記載
スロートレーニングとは、筋肉の発揮張力を維持しながらゆっくりと動作するレジスタンス運動のひとつの方法です。比較的軽めの負荷であっても、ゆっくりと動作することで大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることができます。関節や筋肉にかかる負荷が小さいことから、安全に行える有効なレジスタンス運動として期待されています。
引用:厚生労働省eヘルスネット「スロートレーニングとは」
・WikipediaによるDOMS(遅発性筋肉痛)に関する記載
DOMSの主原因となる運動は、筋肉が収縮方向とは逆方向に引きのばされながら力を発揮(伸張性収縮、或いはエキセントリック収縮)する運動である。筋肉を収縮させながら力を発揮(短縮性収縮、或いはコンセントリック収縮)する運動ではほとんどDOMSが生じない。
引用:Wikipedia「遅発性筋肉痛」
■背筋群全体のチューブトレーニング
●チューブデッドリフト
チューブデッドリフトは、広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋全てに有効な、背筋のチューブトレーニングの基本とも言える種目です。
胸を張り、やや背中を反らせるイメージで背中が丸まらないよなフォームで行うとともに、チューブを引ききったトップポジションで肩甲骨を完全に寄せるようにしてください。
また、膝関節保護のために、膝がつま先より前に出ないようにすることも、大切なフォームのコツです。
【正しいやり方と手順】
①足を肩幅程度の広さに置き、胸を張り背すじを伸ばし、膝がつま先より前に出ないようにお尻を突き出し、足の外側でトレーニングチューブをグリップして構える
②背中が丸くならないように上を見ながら拳を引き上げる
③拳を引き上げたら肩甲骨を寄せきって背筋群を完全収縮させる
④トレーニングチューブの張力を筋力でコントロールしながら元の位置まで拳を下ろす
●チューブローイング
チューブローイングは背筋群全体に効果の高い、背中トレーニングの基本となるゴムバンド筋トレです。
チューブローイングは床に座り、手にトレーニングチューブをグリップして構えます。トレーニングチューブを取り付ける場所がなければ、足にかけても構いません。
トレーニングチューブを構えたら、そこから胸を張り、肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていきますが、この時に上半身を倒しすぎると負荷が分散してしまいますので、上半身はあまり倒さないようにして動作を行ってください。
腕を引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させます。そして、ゆっくりと肩甲骨を戻しながら元に戻ります。
また、背筋群と首の連動性を考慮して、顎を上げて動作を行ってください。顎を引くと背中が丸くなり、背筋群が完全収縮しません。
なお、本種目は両手の手幅によって効果のある筋肉部位が変化しますが、それは以下の通りです。
◯クローズグリップチューブローイング
両手をくっつけて狭い手幅で行うバリエーションで、僧帽筋に効果があります。
◯ワイドグリップチューブローイング
両手を肩幅程度に離した広い手幅で行うバリエーションで、広背筋中央部に効果があります。
【正しいやり方と手順】
①床に座り、手にトレーニングチューブをグリップして構える
②上半身を倒しすぎず、肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていく
③腕を引き寄せたら、顎を上げ肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる
④ゆっくりと効かせながら元に戻る
●チューブベルトオーバーローイング
中腰の状態(ニーベントスタイル)で行うチューブベントオーバーローイングは、姿勢を維持する必要があるため、脊柱起立筋をはじめとした体幹インナーマッスルにも有効なバリエーションです。
●チューブワンハンドローイング
また、片手で動作を行うワンハンドチューブローイングは、広背筋の可動範囲が広がり、筋肉を最大伸展・最大収縮させられるというメリットがあります。
■広背筋のチューブトレーニング
●チューブラットプルダウン
チューブラットプルダウンは広背筋に効果があり、逆三角形の身体作りに有効なゴムバンド筋トレです。
チューブラットプルダウンは頭よりも高い場所にトレーニングチューブの片側を設置し、「上から腕を引く」状態をつくり、手にトレーニングチューブをグリップして構えます。
高い場所にトレーニングチューブを取り付けることができない場合は、前傾姿勢をとったり、床にうつ伏せになり「頭側から腕を引く」状態を作れば、それでも構いません。
構えたら肩甲骨を寄せながら腕を引き下げていきます。肩甲骨をしっかりと寄せないと、背筋群に負荷がかからず腕にばかり効いてしまいますので、常に肩甲骨を寄せるイメージを持ってトレーニング動作を行ってください。
腕を十分に引き寄せたら、顎を上げるとともに肩甲骨を寄せきり広背筋を完全収縮させます。
そこから同じ軌道で元に戻りますが、この時にゆっくりとした動作で広背筋にエキセントリック収縮(伸長性収縮)をかけることも大切です。
なお、本種目は手幅によって効果のある筋肉部位が変化しますが、それは以下の通りになります。
◯ワイドグリップチューブラットプル
肩幅より広い手幅で行うバリエーションで、広背筋側部に有効です。
◯ナローグリップチューブラットプル
肩幅より狭い手幅で行うバリエーションで、広背筋中央部に有効です。
【正しいやり方と手順】
①頭より上から腕を低く状態を作り、手にトレーニングチューブをグリップして構える
②肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていく
③腕を引き寄せたら、顎を上げ、肩甲骨を寄せきり広背筋を完全収縮させる
④ゆっくりとエキセントリック収縮をかけながら元に戻る
●クローズグリップでのチューブラットプルダウン
構える手幅を狭くして行うクローズグリップ(ナローグリップ)チューブラットプルダウンは、僧帽筋と広背筋中央部に対して負荷がかかるやり方です。
●リバースグリップでのチューブラットプルダウン
また、こちらの動画のように、逆手(リバースグリップ)でチューブラットプルダウンを行うと、広背筋のなかでも下部に対して負荷が集中します。
●チューブプルオーバー
チューブプルオーバーは肘の角度によって、効果のある部位が大胸筋から広背筋まで変化するゴムバンド筋トレです。
チューブプルオーバーは、肘の角度によって効果のある部位が大胸筋から広背筋まで変化しますが、それは以下の通りです。
◯ストレートアームチューブプルオーバー
肘を伸ばして行うバリエーションで、広背筋に効果があり、肘は外に張り出すように開いて構えます。
◯ベントアームチューブプルオーバー
肘を曲げて行うバリエーションで、大胸筋に効果があり、肘を内に絞るように閉じて構えます。
チューブプルオーバーは、頭の上でトレーニングチューブをグリップして構えますが、ターゲットにする筋肉に合わせて肘の角度を決めてください。
本種目は、胸郭が膨らんだ状態で行ったほうが筋肉に負荷がかけやすいので、構えたら大きく息を溜めたまま腕を前方に下ろしていきます。
腕を下ろしたら、大胸筋をターゲットにする場合は肩甲骨は寄せず、広背筋をターゲットにする場合は肩甲骨を寄せて、それぞれの筋肉を完全収縮させます。
【正しいやり方と手順】
①頭の上でトレーニングチューブをグリップして構える
②ターゲットにする筋肉に合わせて肘の角度を決める
③腕を下ろし、ターゲットする筋肉を完全収縮させる
④元に戻る
■僧帽筋のチューブトレーニング
●チューブショルダーシュラッグ
チューブショルダーシュラッグは、僧帽筋に集中的な効果のある種目です。
ポイントは肩甲骨を寄せる動作にだけ集中し、肩など他の部位を動かさないようにすることです。
肩関節が動くと広背筋に、肘関節が動くと上腕二頭筋に、それぞれ負荷が逃げてしまいますので注意して動作を行ってください。
また、下を向くと背中が丸まり、僧帽筋が完全収縮しませんので、やや上を見るとともに確実に肩甲骨を寄せきることがフォームのコツです。
●チューブリバースフライ
チューブリバースフライは、肘関節を動かしながら動作してしまうと負荷が腕の筋肉に逃げてしまいます。このため、肘の角度を固定したまま動作をすることが重要です。
また、肩甲骨をしっかりと寄せないと、三角筋後部にばかり負荷がかかりますので、確実に肩甲骨を寄せるように動作をしてください。
■脊柱起立筋のチューブトレーニング
●チューブグッドモーニング
チューブグッドモーニングは長背筋群のなかでも、特に下方にある脊柱起立筋などを鍛えるのに有効です。なお、腰椎への負担を避けるため、上半身は床と平行以上に倒さないように気をつけてください。
自宅筋トレ方法|大胸筋の筋トレ
自重筋トレ方法|背筋群の筋トレ
チューブ筋トレ|三角筋の筋トレ
ダンベル筋トレ|三頭筋の筋トレ
マシーン筋トレ|二頭筋の筋トレ
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筋肥大筋トレ法|下半身の筋トレ
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※当サイトの表現するバルクアップとは筋肥大、バストアップとは胸の土台となる大胸筋のバルクアップ、ダイエットとは健康的な体脂肪率の減少、引き締めとは食事管理と合わせた総合的なダイエットを指します。
【執筆者情報】上岡岳|日本アームレスリング連盟常任理事|元日本代表|国際レフリー|ジムトレーナー|生物学学芸員