
三角筋後部の鍛え方を、自重トレーニング・チューブトレーニング・ダンベルトレーニング・バーベルトレーニング・マシントレーニングそれぞれからご紹介するとともに、各筋トレ種目の動作ポイントやコツについて解説します。
※本記事は提供元サイト(BUKIYA-MOBILE/武器屋.net)より転載・出力しています。著作権・コンテンツ権・引用および免責事項についてはこちらをご参照ください。

※本記事は世界チャンピオン金井選手・山田選手も所属し、ワールドゲームズや国体にも参加実績のある公式競技団体「JAWA」の情報記事として公開されています。
※当サイトでは、科学的に正しい記載を行うことを第一に考えており、「厚生労働省|eヘルスネット」および公共性の高い情報サイトである「Wikipedia」からエビデンスを担保しています。主なエビデンスに関してはこちらのページでご確認ください。
■三角筋の構造
●前部・側部(中部)・後部の3部位に分けられる
三角筋は前部・側部(中部)・後部に分けられ、それぞれ「フロントデルタ」「サイドデルタ」「リアデルタ」と呼ばれています。
また、それぞれ「前部:腕を前に上げる」「側部:腕を横に上げる」「後部:腕を後ろに上げる」という働きをしています。
ですので、三角筋後部は基本的に「腕を後ろに上げる」動作の筋トレで鍛えていくことになります。
・Wikipediaによる三角筋に関する記載
三角筋の肩甲棘部は肩甲棘から、肩峰部は肩峰から、鎖骨部は鎖骨の外側部の1/3からそれぞれ起始し肩関節を覆う様に外下方へと走り上腕骨三角筋粗面に停止する。運動は肩関節を支点にして肩甲棘部が上腕を伸展・内転・外旋させ、肩峰部が上腕を外転させ、鎖骨部が上腕を屈曲・内転・内旋させる。「投げる」ことに関係の深い筋肉であり、投擲系のスポーツでは特に重要視される。ボディビルなどでもこの筋肉の発達が不十分だと肩幅が狭くなり、頭が相対的に大きくなって格好悪くなるのでトレーニングを必要とする。腕立て伏せやベンチプレスなどを行なうことでも充分に鍛えられる筋肉だが、専門的な筋力トレーニングを必要とするのであればフロント・レイズ、サイド・レイズなどのレイズ系の種目、もしくはショルダー・プレスなどが有効。

なお、全身の筋肉名称と作用についてさらに詳しく調べたい方は、下記のリンク先をご参照ください。
▼さらに詳しい筋肉の名称・構造・作用
【筋肉部位名称スマホ完全図鑑】胸・背中・腕・腹・下半身・インナーマッスルの名前と鍛え方
■筋トレ目的別の負荷回数設定
●筋繊維の種類と特徴
筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
●筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
収縮が速く(Fast)、グリコーゲン(Glycogen)を消費する速筋で、FG筋とも呼ばれます。30秒以内の瞬発的な動作で爆発的に収縮し、鍛えると強く筋肥大します。筋肥大バルクアップ筋トレのターゲットとなる筋繊維で、10回前後の反復回数で限界がくるような高負荷設定でトレーニングします。
●筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
収縮が比較的速く(Fast)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する速筋で、FO筋とも呼ばれます。60秒以内の持久要素のある瞬発的な動作で収縮し、鍛えるとある程度の筋肥大が起こります。細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップのターゲットとなる筋繊維で、15回前後の反復回数で限界がくる中負荷設定でトレーニングします。
●筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
収縮が比較的遅く(Slow)、酸素(Oxygen)と脂肪酸を消費する遅筋で、SO筋とも呼ばれます。60秒以上の持久的な動作で持続的に収縮し、鍛えると筋密度が向上し引き締まります。引き締めダイエット筋トレのターゲットとなる筋繊維で、20回以上の反復回数で限界がくる低負荷設定でトレーニングします。
■三角筋後部の自重トレーニング
●斜め懸垂
斜め懸垂は、懸垂ができない方におすすめの低強度バリエーションです。
斜め懸垂は、いかに背筋群を完全収縮させて追い込むかが重要で、このためには胸を張り、腕の力ではなく背中の筋力で身体を引き上げることが大切です。
胸を張って、背すじを伸ばして構えたら、腕を引いて身体を引き上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せながら動作してください。
肩甲骨を寄せずに動作を行うと、腕の筋力で動作することになり、背筋群まで負荷が届きにくくなります。
そして、身体を十分に引き上げたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させます。この時に顎を上げるような動作を加えると、さらに背筋群が強く収縮して効果が高まります。

なお、器具類がなくても、この動画のように机を流用して行うことも可能です。
【正しいやり方と手順】
①胸を張り、背すじを伸ばして構える
②肩甲骨を寄せながら身体を引き上げる
③十分に身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
●パイクプッシュアップ
パイクプッシュアップは、大きく腰を曲げて斜め後ろに身体を押し上げる腕立て伏せのバリエーションです。
パイクプッシュアップは、うつ伏せになり、肩幅より広く手幅をとり、腰を大きく曲げて構えます。
そこから、斜め前に身体を下ろし、身体を下ろしきったら腕を伸ばして身体を斜め後ろに押し上げていきます。
この時に、肩甲骨を寄せておくことが大切で、肩甲骨の寄せ方が甘いと肩関節に強い負荷がかかりますので注意してください。
また、身体を押し上げる時に、肘が身体の背面側に入らないようにすることも重要です。肘が後ろに入ってしまうと、肩関節に開き負荷がかかりますので、あまり上半身を反らせすぎず、常に肘が身体の前側にあるように動作しましょう。
なお、負荷が足らない場合は、足を台などの上に乗せることで負荷強度を上げることが可能です。
【正しいやり方と手順】
①うつ伏せになり、肩幅より広く手幅をとり、腰を大きく曲げて構える
②肩甲骨を寄せて身体を斜め前に下ろす
③肘が身体の背面に入らないように気をつけ、身体を斜め後ろに押し上げる
なお、通常のパイクプッシュアップで負荷が足らない方は、こちらの動画のような足上げパイクプレスを行ってください。通常の場合と同様に、肘が背面側に来ないように十分に注意してください。
●逆立ち腕立て伏せ
逆立ち腕立て伏せは、器具なしで高負荷で三角筋を鍛えられる自重トレーニングです。
逆立ち腕立て伏せは、非常に高い負荷で三角筋を鍛えられる種目ですが、やり方を間違えると肩関節に怪我をするリスクもありますので、十分に注意して行ってください。
まずは、壁などを利用し、肩幅よりやや広く手幅をとり構えます。
上級者のなかには完全に倒立して行う方もいますが、三角筋のトレーニングとして考えた場合、完全倒立にこだわる必要はありません。
倒立状態で構えたら、そこから身体を下ろしていきますが、この時に肘が身体の背面に入ると肩関節に強い開き負荷がかかりますので、常に肘を身体の前面にして動作してください。
上腕が床と平行になるまで下がったら、そこから身体を押し上げていきます。この時も、常に肘は身体の前側において動作しましょう。
【正しいやり方と手順】
①肩幅よりやや広く手幅をとり、壁などを利用して倒立する
②肘が身体の背面に入らないように気をつけて、身体を下ろす
③上腕が床と平行になるまで下がったら、同じ軌道で身体を押し上げる
■三角筋後部のチューブトレーニング
●チューブリアラテラルレイズ
チューブリアラテラルレイズは三角筋後部に集中的な効果があるゴムバンド筋トレです。
チューブリアラテラルレイズは、足でトレーニングチューブの中央部を踏み、手で両端をグリップし、前傾姿勢を作って構えます。
そこから、肘を伸ばしたまま手を後方に上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せないように気をつけてください。
肩甲骨を寄せて動作を行うと、負荷の多くが僧帽筋に分散してしまいますので、必ず肩甲骨は寄せずにトレーニングしましょう。
腕を床と平行になるまで上げたら、同じ軌道でゆっくりと効かせながら元に戻ります。
本種目は手を下ろす時にゴムの張力に耐えながらエキセントリック収縮(伸長性収縮)でしっかりと効かせるのがコツです。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブの中央部を足で踏み、両端を手でグリップし、前傾姿勢で構える
②肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せずに手を後方に上げていく
③腕を床と平行になるまで上げたら、同じ軌道でゆっくりと効かせながら元に戻る
●チューブフェイスプル
チューブフェイスプルは効かせるのが難しい三角筋後部に、比較的簡単に負荷を加えられるゴムバンド筋トレです。
チューブフェイスプルはトレーニングチューブの中央部を足で踏み、両端を手でグリップして構えます。
そこから、フェイスプルの名前通り、顔に向けて手を引き寄せていきますが、この時に肘を肩より上にして、肘を先行させて手を引き寄せるのが効かせるコツです。
また、手を引き寄せる時に肩甲骨を寄せてしまうと、負荷のほとんどが僧帽筋に逃げてしまいますので、肩甲骨を寄せずに動作を行ってください。
そして、手を顔の前まで引き寄せたら、同じ軌道でゆっくりと効かせながら元に戻ります。
【正しいやり方と手順】
①トレーニングチューブの中央部を足で踏み、両端を手でグリップして構える
②肩甲骨を寄せないように気をつけて、肘を肩より上にして、肘を先行させて手を顔の前まで引き寄せる
③手を引き寄せたら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
■三角筋後部のダンベルトレーニング
●ダンベルリアラテラルレイズ
ダンベルリアラテラルレイズは三角筋後部に集中的な効果があるダンベルトレーニングです。
ダンベルリアラテラルレイズは、ベンチなどに座り、胸を膝に当てた前傾姿勢になり、両手にダンベルを持って構えます。
そこから、肘を伸ばしたままダンベルを後ろに上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せないように注意してください。肩甲骨を寄せてしまうと負荷の多くが僧帽筋に逃げてしまいますので、肩甲骨は寄せずに三角筋後部に意識を集中して動作を行います。
ちなみに、肩甲骨を寄せて僧帽筋に負荷を加えるやり方は、ダンベルリバースフライと呼ばれる別の種目になります。
ダンベルを床と平行になるまで上げたら、そこから同じ軌道でゆっくりと筋肉にエキセントリック収縮(伸張性収縮)をかけ、確実に効かせながら元に戻ります。
【正しいやり方と手順】
①ベンチなどに座り、胸を膝に当て前傾姿勢で構える
②肩甲骨を寄せずにダンベルを後ろに上げていく
③ダンベルを床と平行になるまで上げたら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
●ダンベルフェイスプル
ダンベルフェイスプルは効かせるのが難しい三角筋後部に、比較的簡単に負荷を加えられるダンベルトレーニングです。
ダンベルフェイスプルは、ベンチなどに片手をついて前傾姿勢を作り、床に置いたダンベルをグリップして構えます。
そこからダンベルを顔の近くに引き上げていきますが、この時に、肘を横に張り出すとともに、肩甲骨を寄せないように意識することが大切です。
脇を締めたり、肩甲骨を寄せながら動作を行うと、負荷の大部分は背筋群にかかってしまいますので、脇を開け、肩甲骨を寄せないように動作を行ってください。
ちなみに、脇をしめて肩甲骨を寄せて動作を行うと、ワンハンドダンベルローイングという背筋のトレーニングになります。
ダンベルを顔の高さまで引き上げたら、ゆっくりと筋肉にエキセントリック収縮(伸張性収縮)をかけながら元に戻ります。
【正しいやり方と手順】
①ベンチなどに手をつき、前傾姿勢で構える
②脇を開け、肩甲骨を寄せずにダンベルを顔に引き上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
■三角筋後部のバーベルトレーニング
●バーベルリアデルタロー
バーベルリアデルタローは三角筋後部に集中的な効果があるバーベルトレーニングです。
バーベルリアデルタローは、肩幅よりやや広い手幅でバーベルをグリップし、ニーベントスタイルで構えます。
ニーベントスタイルはウエイトトレーニングの基本となる姿勢の一つで、胸を張り背すじを伸ばし、膝がつま先より前に出ないようお尻を引いて前傾姿勢になるフォームです。
ニーベントスタイルで構えたら、そこから肩甲骨を寄せずにバーベルを胸に向けて引き上げていきますが、背筋群に隣接・連動している三角筋後部の特性上、肩甲骨を寄せてしまうと僧帽筋に負荷が逃げてしまいますので、肩甲骨を寄せないイメージで動作を行ってください。
バーベルを引き上げたら、そこから元に戻していきます。この時に、勢いで戻るのではなく、筋力である程度コントロールして効かせながら戻ることも大切です。
【正しいやり方と手順】
①肩幅よりやや広くバーベルをグリップし、ニーベントスタイルで構える
②肩甲骨を寄せずにバーベルを胸に引き上げる
③筋力でコントロールしながら元に戻る
■三角筋後部のマシントレーニング
●ケーブルリアラテラルレイズ
ケーブルリアラテラルレイズは三角筋後部に集中的な効果があるジムマシン筋トレです。
ケーブルリアラテラルレイズは、ケーブルマシンの横でニーベントスタイル(前傾姿勢)を作り、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構えます。
そこから、肘を伸ばしたまま腕を後ろに上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せないようにしてください。
三角筋後部は僧帽筋と隣接しているため、肩甲骨を寄せる動作を行ってしまうと、負荷のほとんどが僧帽筋に逃げてしまいます。
必ず、肩甲骨をロックして動作を行ってください。
なお、肩甲骨を寄せる動作で行う種目をケーブルリバースフライと言い、僧帽筋の仕上げ種目として知られています。
【正しいやり方と手順】
①ケーブルマシンの横で前傾姿勢をとり、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構える
②肩甲骨を寄せないように気をつけ、肘を伸ばしたまま腕を後ろに上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
●ケーブルフェイスプル
ケーブルフェイスプルは効かせるのが難しい三角筋後部の筋トレとしては、比較的動作が簡単なジムトレーニング種目です。
ケーブルフェイスプルは、ケーブルマシンに正対し、腕を伸ばした状態で構えます。
そこから、顔に向けてバー(またはロープ)を引いていきますが、この時に肘を肩より高く上げ、肩甲骨を寄せないようにすることが大切です。
肘を低く構えると、どうしても肩甲骨が寄ってしまい、結果として僧帽筋に負荷が逃げてしまいます。
本種目は、動作イメージとして、肘でウエイトを引き寄せる感覚で行うと上手く効かせられます。
【正しいやり方と手順】
①ケーブルマシンに正対し、腕を伸ばした状態でグリップして構える
②肘を肩より高く上げ、肩甲骨を寄せないようにしてグリップを顔に向けて引く
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
※当サイトの表現するバルクアップとは筋肥大、バストアップとは胸の土台となる大胸筋のバルクアップ、ダイエットとは健康的な体脂肪率の減少、引き締めとは食事管理と合わせた総合的なダイエットを指します。
【執筆者情報】上岡岳|日本アームレスリング連盟常任理事|元日本代表|国際レフリー|ジムトレーナー|生物学学芸員